Рhiliрр-Rоsеnthаl-Straße – 51а, 04103 Lеiрzig, Tel 0341 / 878 14 53
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ここは、モスクワ府主教聖アレクシーの
名を冠したロシア正教会で、ライプツィヒ
市の独自かつ美しい名所となっています。
教会は 1813 年のライプツィヒの戦いで命
を落とした2万2千人のロシア人戦没者を
記憶して建てられました。
ライプツィヒ近郊
で行われた会戦は「諸
国民の戦い」としても
歴史に名を残してい
ますが、それは対ナポ
レオン戦争のために
ロシア軍がプロシア、
オーストリア、スウェ
ーデン軍と共に戦っ
たからです。このライ
プツィヒの地では、ナ
ポレオン軍の将兵を
含めて10万の兵士た
ちが命を落としまし
た。
1913 年までは、巨
大かつ長大な共同墓
地となった丘が郊外
にそびえていました

が、戦役100周年に、この墓に代えて諸国
民の戦いを記憶するためのメモリアル施設
が建設されました(設計者はクレメンス・チ
ーメ)。ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世はロシ
ア人将兵のための個別の勝利記念碑を建て
ることを提案しましたが、当時のロシア人


は過去の戦死者の栄光に思いを馳せるだけ
でなく、彼らの永遠の安らぎを祈ることが
できるような記念碑を建てることを望みま
した。こうしてドイツの地にこの素晴らし
い記念碑教会が立てられたのです。16 世紀
の尖塔型教会のスタイルを採用した本建築
物は、オベリスク風の外観を持ち、その内部
に2つの聖堂を収めています。
記念碑教会の価値は 1913 年の基準で 100
万ルーブリに上りました。サンクト・ペテル
ブルクのアカデミー会員の建築家ウラジー
ミル・ポクロスキーが手掛けた図面に従っ
て、この仕事のためにドイツへ派遣された
ロシア人の手によって聖堂建設が行われま
した。
一般公開されているのは上層部の聖堂で
す。ドン・コサックの寄進によって作られた
7 層のイコノスタス(聖障)は、モスクワの
イコン画家エメリヤノフの手になるもので
すが、彼はこの時代の偉大な画家ヴァスネ
ツォーフの教え子でもありました。イコノ

スタスの高さは 18 メートル、幅は 10 メー
トルになります。87 のイコン(聖像画)は
西洋杉の板に特殊な漆塗りで描かれており、
中世ロシアのイコン技法の素晴らしく模範
的な復元といわれています。下段のイコン
は、バスマと呼ばれる鋳造技法によって作
られた金型装飾で覆われています。イコノ
スタスには 3 つの門が付いています。真ん
中の門が「王門」と呼ばれるもので、祈祷の
際、聖職者によって開閉されます。王門の右
には救世主ハリストス(イエス・キリスト)、
左には生神女マリア(聖母マリア)のイコン
が掛けられています。救世主のイコンは 4
世紀のビザンチン・イコンの、生神女マリア
のイコンは「スモレンスクの生神女」として
知られる奇跡のイコンの模写です。「スモレ
ンスクの生神女」はナポレオン戦争の一つ
であるボロジノの戦い前夜に、ロシア軍総
司令官クトゥーゾフ将軍とその将兵たちが
祈りをささげたイコンでもあり、今もスモ
レンスクの首座聖堂に安置されています。


救世主のイコンのさらに右には、聖堂の守
護聖人のイコンが掛けられる習わしとなっ
ており、本聖堂ではモスクワおよび全ルー
シの府主教・奇跡者アレクシーのイコンが
掛けられています。毎年 10 月 18 日にこの
聖人のための祈祷が盛大に行われます。生
神女マリアのイコンの左手は奇跡者聖ニコ
ライのイコンです。これら 2 つのイコンは、
彼らの聖者伝の中の最も有名な場面を描い
た小さなイコンによって縁どられています。
イコノスタスの手前には、コサックの軍旗
が掲げられていますが、これらは教会旗を
想起させる外観をしています。この軍旗は
戦役時にコサック連隊が持ち込んだもので、
100 年を経てこの聖堂に安置されました。
聖堂入り口の左手には、勝利者聖ゲオル
ギーのイコンが樫造りの素晴らしい台座に
はめられて安置されています。これはオレ
ンブルグおよびウラルのコサック連隊の寄
贈によるものです。聖堂の壁には 8 枚のメ
モリアル・プレートがはめ込まれており、こ
れらは諸国民の戦いに参加したロシア軍の
全部隊の名称が書かれています。
聖堂の上部からは、パニカジロというブ
ロンズ製のシャンデリアが下がっており、
68 のランプシェードはウラル産の天然の碧
玉で作られています。このシャンデリアは
1916 年にロシア政府から聖堂に寄贈され
ました。
聖堂入り口から向かって右手には、壁に
石棺が安置されています。これは戦死者の
ための棺をシンボライズしたもので、棺の
中のキリストを描いた布が掲げられていま
す。復活祭の前の聖大金曜日(キリストが磔
刑に処されたことを記憶する日)には、この
棺が聖堂の中央に安置されます。復活祭の

祈祷の前に、棺の中のキリストを描いた布
は至聖所と呼ばれるイコノスタスの内側へ
入れられ、キリスト昇天祭までの 40 日間、
宝座と呼ばれる台の上に安置されます。
建物の反対側には小さな地下聖堂があり、
ロシア人将兵が眠る納骨堂に通じています。
納骨堂にはいくつかのイコンが並べられ、
死者を記憶するための永遠の灯が輝いてい
ます。中央にはブロンズ製のシャンデリア
が下がっており、そのランプシェードは先
述と同じく天然の碧玉で作られています。
納骨堂の中央には下に降りる小さな階段が
あり、ロシア人将校の遺骨を納めた 3 つの
棺と無名兵士の遺骨を納めた1つの棺が安
置された壁に通じています。納骨堂の壁の
左側には、ナポレオン戦争におけるロシア
軍総司令官であったクトゥーゾフ将軍、右
側には同時代のロシア皇帝アレクサンドル
1 世の肖像画が飾られています。クトゥー
ゾフ将軍の肖像画の脇には、改葬の際に


から発見されたロシア軍旗と小銃が飾られ
ています。
聖堂の一階部分にも、美しい正面扉が備
え付けられています。これは下層階の聖堂
に通じる入口で、現在は小さな図書館・展示
室があり、左右には教会事務所が置かれて
おり、日曜学校などもここで開かれていま
す。

正教会の奉神礼(祈祷式)は、毎日曜日は
10 時から、正教の大祭日には 8 時から行わ
れます。この教会の聖歌隊は注目に値しま
す。数こそ少ないものの、専門の訓練を受け
た歌い手たちです。この聖堂で行われる奉
神礼では、伝統的な教会の歌唱法にのっと
った大変美しい歌声を耳にすることができ
ます。本教会は皆様のお越しをお待ち申し
上げます

記念碑教会のアーカイブ資料より抄訳
高橋沙奈美
2023 年 9 月 23 日